久留米大学特任教授 古賀幸久 の考える、これからの生き方論。
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循環を支える生き方

#26 2020年3月31日


 人の本能はエゴイスティックでもあり、また、他人や社会の問題や課題について頭を悩ますこともあります。同時に、人は生きがいを持って精神的に豊かに生活することを願います。時と状況に応じて、エゴに節度を持たせることもあれば、突発的一時的な感情で生存そのものを犠牲にすることもあります。また、他人や社会との関係を大事にもすれば、疎かにする場合もあります。人間模様は人々の変幻自在な欲望と感情に翻弄されながら多様に変化します。私たちはこのような混沌とした感情の渦中においても、質の高い喜びのある時間を持てるように生きることが大事です。

他人や社会への配慮

 人の能力には格差があります。そのため、人それぞれが努力して切磋琢磨する結果、様々な付加価値や富が創造されます。個人の個性や得意な分野と不得意な分野があることで、人それぞれが生み出す付加価値や富には格差が生じます。特に、自由な競争を原理とする経済分野で生みだす富の格差は顕著に現れます。これを、必然だからといって人や社会がこれをそのまま看過し、放置すれば、社会の循環を徐々に狂わせ、自滅と社会崩壊の道を歩むことになります。私たちはそうならないための生き方を探ることが必要です。
 弱者の個性や才能が縮小すれば文化的機能も縮小し、豊かな社会的循環を持続させることが難しくなります。個人や社会の責務は、経済的弱者となることで個性的な文化的・精神的個性や才能が萎えてしまぬようにすることです。

生き甲斐のある自分らしい生き方が社会の循環を支える

 そのためには個人や社会や国家が何らかの温かい配慮をすることも大事でしょう。しかし、ここで最も認識しておきたいことは、経済的弱者であろうとなかろうと、個人個人が生きがいを持って精神的、文化的に豊かに生活することそのものが、実は他の人々の個性や才能を支えることになるということです。いずれにしても、支えられた弱者の文化的・精神的個性や才能の自己実現が叶い、開花していった暁には、人や社会の感性に味わい深い楽しみや喜びを生み出します。その流れが、質の高いモノやサービスと豊かな文化を創造し、社会全体に良質な循環を促します。一人一人が生きがいを持って自分らしく生きる願いと実践があることが、個人的・社会的な温かい配慮へと結びつき、社会の基盤と循環を支える核にもなります。
 生き甲斐を持って生きる心には他人や社会への温かい配慮が伴います。温かい心は回りまわって自己救済の証でもあります。そこには「生きること、そして、生かされること」の幸せと喜びがあります。

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