久留米大学特任教授 古賀幸久 の考える、これからの生き方論。
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豊かな社会とは

#22 2020年1月18日


 人はこれまで生きるために、生活に必要な物を作る努力をしてきました。その結果、たくさんの物に囲まれた生活ができるようになりました。しかし、反面、いろんな問題を生み出してきました。特に贅沢に物があふれ、大量に廃棄され、環境を破壊し、健康を害してきました。そして、日常の生活を安心して送れない事態を生み出してきました。これは、人々が持続的に豊かな生活を続けるための循環から外れた生活をしているということを意味します。これまでの様々な社会問題はそのような悪循環から起こってきました。これまでと同じように物の生産を増やしても、また、労働者の数を増やしても悪循環から抜け出ることはできません。

持続的に豊かに生活できる循環を作り出す条件

 私たちが持続的に豊かに生活できるような循環とは何でしょうか。そしてまた、その循環から外れないようにするためにはどのようにすればいいのでしょうか。
 その答えを簡潔に述べるならば、「物量に関し生活に必要以上を作る代わりに、それぞれの人がそれぞれの個性的な創造的能力を発揮して付加価値的生産性の高いものを生み出すこと、そしてそれをお互いに交換し合っていくこと」ということになります。一人一人の付加価値生産性を軸にした好循環があれば一人一人の経済的な生活は必然的に豊かになります。
 付加価値的生産性の高いものを生み出す方法には主に二つあります。一つは「物の質」の付加価値生産を高めることです。物の量の生産性を高めてもこれまでの悪循環を繰り返すだけです。あと一つは「文化的・精神的な欲求の高揚」です。この場合、創造の一環として物の質を同時に高めることに関連することも多々あります。

次世代に残したい豊かさとは

 「物の質」の付加価値を創造するということは、生活面においては、健康的で、住みやすく、安心して日常を楽しめる「質の高い物」を創造することであり、そして、経済活動の面においては、「質の高い物」を生産、購入、消費することです。また、「文化的・精神的な欲求」の高揚とは日常生活を趣味や興味に溢れた健康的にスポーツや音楽、芸術や旅などの豊かな時間を楽しむことであり、それに合わせて「質の高い物」を利用して楽しむことです。
 そのような「質の高い物」へのこだわりや、「文化的・精神的な欲求」に呼応する社会的・経済的な活動やサービスの創造と提供は、好循環の基盤となる地域や国の安定を生み出し、そして、将来の世代に誇りをもって残せる豊かさを創造します。
 次のブログでは「豊かな社会になるための具体的な条件」について述べます。

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