久留米大学特任教授 古賀幸久 の考える、これからの生き方論。
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社会的自己実現

#14 2019年8月27日

興味と趣味が社会循環の原動力

 人にはそれぞれの個性に応じた興味や趣味があります。興味や趣味の赴くままに生きることは楽しいことです。好きなことをするときは時間も忘れるほどに熱中します。充実して過ごす時には多少の苦労は気になりません。むしろそのような苦労であれば楽しくなることもあります。
 興味や趣味には創って楽しむものもあれば、お金を使って楽しむものもあります。前者は生産的なものであり、後者は消費的なものです。生産は他の人の消費を促し、そして、消費は他の人の生産を促します。自分の趣味や興味の広さと深さがあればあるほど、他人のそれと根を深く絡ませながら、相互に共存・依存し合って社会を循環させています。それが、社会全体に新しい富を増やし、たくさんの幸せや喜びを生み出すことになります。

創造の心・利用の心

 ここで注意すべきことがあります。それは、創る(生産)人と、創られたものを利用する(消費)人が富を求める『動機』と『目的』に関するものです。
 興味や趣味に熱中する人の『動機』は、作る人は創作過程そのものを『楽しむ』ことでしょうし、使う人は生活に必要だから、あるいは、生活に必ずしも必要ではないが、それ以上の強いこだわりを持って、見て使って『楽しむ』場合もあります。この楽しみは生きていくエネルギー源で、何物にも代えがたいものです。
 創作した富を欲する『目的』とは、生き方の質に関するものです。その内容次第では社会が豊かで安全にもなり、逆に混乱と不安を助長することにもなります。自分の興味や趣味に熱中はするが、社会的な問題や課題について全く関心もなく、何の関わりも持たずに生活するならば、自分の新しい創造や利用の効果が他人や社会にどういう影響を及ぼそうと無関心です。たとえ、それが、将来、社会の混乱や戦争の原因になりえる場合であっても無意識・無関心のまま、創作し、利用して『楽しむ』だけの世界に没頭することになります。そうなれば社会はどのようになっていくでしょうか。

課題に向き合う心

 私たちは過去の歴史から学ぶ必要があります。これまで、社会を豊かにするべく生まれた高度な発明や技術が悪用されることも多く、多くの人々を不幸のどん底にも陥れても来ました。これからは、そういうことが無いようにしなければなりません。あらゆるものは意識的・無意識的にどのようにでも使うことが出来ます。そのことを念頭におきながら、常に自分と人々の幸せを求める思いや願いの方に寄り添いながら、創り、利用していくことが大事です。「創造の心」、「利用の心」、「課題に向き合う心」が一体になる時に、個性に一層の磨きがかかり、魅力的に輝いて生きることができます。


(これまでの1回目から14回目までのブログ内容は「楽しく生きるためには」というコンセプトを念頭において記してきました。そのコンセプトの詳細は「大切なものを探る・知る・育てる・比較する・使う」という内容から構成されます。今回の「興味と趣味と社会的自己実現」はその中の「育てる」という視点から述べています。
 当ブログでは今後10回程(約2か月間)は「育てる」、「比較する」、「使う」という視点で記したブログを掲載していきます。その後、様々な「社会的な問題や課題(外交、交渉、安全保障、環境、格差、危機管理、教育、援助、民主主義、政治、農業、福祉、税、セーフティーネット、民族、宗教‥)」について具体的に焦点を当てながら、本日のブログで述べた『目的』、「課題に向き合う心」に対応できる内容にしたいと思います。)

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