久留米大学特任教授 古賀幸久 の考える、これからの生き方論。
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自分という富の還元

#13 2019年8月18日

富の存在意義

 富は使い方次第では美徳にもなり、また、有害にもなります。富を創造する人は自分自身であり、その創造した富を様々な社会的な問題や課題に対処するために還元するのも自分自身です。
 富には経済的な富もあれば、文化的な富もあります。富を使うには、まず、その富の持つ経済的・文化的な性質と効果、そしてその使い方について理解しておく必要があります。

富のもたらす性質と矛盾

 人はそれぞれの個性に応じて趣味や興味を持ち、能力に応じて様々な付加価値も創造します。人が生み出す社会的な付加価値は生存のエネルギーでもあります。しかし、皮肉にも、その過程で、必然的に経済的社会的な格差が広がり、多くの弱者を生み出していきます。その結果、特に多くの弱者の豊かな個性や才能を萎えさせ、社会の精神的・文化的な循環機能を麻痺させていくことで、深刻な混乱を生み出していきます。これは常に現実的に私たちが背負っている課題です。

富の使い方の意味

 この矛盾を解消させるには、常に、自分自身という富と自分の個性が創造する富を社会に還元させる心と行動が求められます。それによって自己を含めて多くの豊かな才能が精神的・文化的エネルギーを萎えさせることなく、社会を循環させていくことができます。例えば、経済的な富(お金など)であれば、文化的・精神的な生活の楽しみと充実のために「優良な物・文化的なサービスの購入、各種の文化芸術的な創作活動や広報活動の活性化のための支援」などを通して、質の高い文化的・経済的な付加価値の創造を支え続けていくことができます。また、生命の尊厳や健康の維持の観点から「生きることが困難な人のために行動・支援することや、バリアフリーのための活動の受け皿を用意すること」など、セーフティーネットや社会福祉的な役割を果たすこともできます。文化的な富(芸術など)であれば、「創作活動の継続、創作した作品の展示や発表、文化芸術教育の充実、異文化交流活動」などを通して、人と人とが共感し合う大切なものを感じさせ、感謝しあえるような感性や心を育くむこともできます。
 このような形で自分の個性が創造する経済的・文化的富を社会に還元させることで更に趣味や興味の充実、精神的・文化的な創造の喜びを得ていくことになるでしょう。

富の還元の意識と行動

 経済成長を求める時代においては、市場経済で生き残るための能力を競うことに力を入れてきました。経済的に豊かにはなりましたが、貧富の差が拡大し、少子高齢化などの多くの難題も生み出してきました。社会が豊かに循環していくためにはそれらの難題に対応する効果的な国家的・社会的な処方箋が求められています。このような危機に直面する今こそ私たち一人一人に求められることは、個性と能力を豊かに磨きあげことであり、そこから付加価値の高い富を創造していくこと、そしてその富を自分や社会に再還元する心と行動力を育んでいくことです。同時に、それと一体化して大事なことは、社会を機能的に循環させる活力を与え続けていく環境と受け皿を造ることです。
 社会の中にはそのような心と行動力を兼ね備えている人はたくさんいます。そのような人々の思いをまとめあげ、その結集されたエネルギーを行動に移せる人々を支える環境や受け皿を用意することが必要です。その環境や受け皿はいろんな手段と方法で作ることが出来ます。お金持ちの篤志家や、一般的な人々による財力と行動によって、互いに協力していくこともできます。

(私の地元、久留米にこの8月「筑後川コミュニティー財団」が設立される予定です。これは元外交官、元久留米大学教授であった宮原信孝先生の主導によるものです。様々な社会課題に対応する上において素晴らしい内容の活動であると確信しています。一般的な人々の良心と行動を結集して活動に繋げることを主軸とするものです。実は、私自身も予てより、いずれこのような活動を行いたいと思っていました。現在のところは、高い実力と能力、そして実践力のある宮原信孝先生と同財団を支援することで、微力ながら、活動の一環を支えさせて頂きたいと思っています。皆様もどうぞご協力ください。)

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