久留米大学特任教授 古賀幸久 の考える、これからの生き方論。
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心のあり方はどこから生まれる?

#8 2019年7月1日


 山口創著「皮膚は「心」をもっていた。」(青春新書)によれば、皮膚は心であり、生理学では皮膚は「第二の脳」といわれているそうです。もともと皮膚は脳と同じ部分にあったものが分かれて作られたと記してあります。皮膚自身が電気を帯びていて、脳で判断する前に皮膚が触れたものを皮膚自身が把握し、判断する能力があるということです。皮膚に触れることで「心」がうまれるとされます。さらに、皮膚の一部の細胞が脳と同じようにホルモンを作り出しているということは驚きです。
 同書はたくさんの心の在り方について教えてくれています。

皮膚は感受性の源

 私たちの「心」は他人との皮膚との接触によっても生まれます。ドイツの哲学者であり、神学者でもあったシュタイナーは、触れて感覚を刺激することで心の感受性が豊かになり、知性が育つということ信念として、「手」の教育を実践しています。教育の基本は、人の心の中の欲求を実践し、自ら行動できるようにすることとして、「手」が最も重要な役割を持っているということです。

皮膚は五感の基盤

 人間の五感のそれぞれの関係性はどのような位置づけができるのでしょうか。まず、底辺に触覚(皮膚)があり、その上に他の4感覚つまり、視覚(目)、聴覚(耳)、臭覚(鼻)、味覚(口)があります。全身を覆う皮膚はすべての感覚の基盤となります。この皮膚感覚が心を産み、感受性を育てます。感動したり、怖がったり、驚いたりしたときに鳥肌が立つのは、皮膚感覚で感情と感性が生まれていることを示しています。
 感受性がバランスよく豊かになることによって、人は気力や体力、道義性、教養、社会性、異文化対応能力、生活力など、人間力を総合的に高めることができます。
 親子、友人同士、異性同士が互いに手で触れ合い、互いの暖かさや冷たさの違いを感じて、互いに感受性を豊かにして、バランスよく人間力を高め合うことができます。
 コミュニケーション能力は、そのような皮膚感覚を通して互いを認識する触れ合いによって磨かれていきます。それは、お互いを尊重し合い、能力を高め合って、新たな付加価値を創造する源でもあります。

共感し合う基盤

 自分の自然な皮膚感覚で相手の手を握れば、相手の存在を感じることができます。相手の存在を感じることで互いの心を感じることができます。それが互いを尊重し合い、認め合い、共感し合うための原点です。そして、人と人との暖かい心をつなぎ合うことが出来れば、混沌とした社会の矛盾のなかにあって、何とか折り合いを付けながら助け合って生きていくことも出来ます。

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