久留米大学特任教授 古賀幸久 の考える、これからの生き方論。
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自分らしさ

#6 2019年6月11日

自然体と文化力

 自ずと見えてくる物に対して心が素直に惹かれるときは充実感があり、楽しくなります。
 意識的に物を見ようとすると、部分しか見なくなることがよくあるようです。意識的に物を観るのではなく、自ずと目に見えてくるものを見ることで、物は豊かな個性を見せてくれます。
 硬直した見方や、概念的な見方に囚われていては、物はそのものの豊かさを表してはくれないようです。体の五感全ての機能が無意識に感知したそのものを受け入れて感じたままを大事にするのが自然です。
 「自然体」で接する。自己が程よく制御され、壁がなく、無理がなく、行き過ぎず、謙虚、豊かで囚われのない感性に飛び込んでくる物は、自ずとその本物を表現してくれるようです。それをそのまま感じ、味わうこと、それが美しさと楽しさを感じる原点です。その感じる力は文化力ともいうことができるでしょう。

自分探しの危険な罠

 人はその文化力の域まで高められる感性を身につけることができればとても幸いなことです。それは自分そのものをみつめることにもつながります。でも、自分自身を見つめる際に、ぜひ、注意することがあります。人は往々にして陥りやすい罠があります。自己の内面だけに入り込み、明確な座標軸もなく、闇の中で思索の迷路に迷い込むことがあります。混乱の中でさまよって、なかなか脱出できず、エネルギーを大いに消耗することになります。

自然な自分らしさ

 自分を見つめる旅は、自分の内面にだけ入り込むのではなく、常に自分の外の世界で光を浴びながらみつめていくことが大事です。自分探しの内面的な重たい呪縛で苦しむよりも、外の世界との接触を通して、自分らしさを感じるようにするのが無理のない素直な自分探しの旅となるでしょう。それが健全でもあるし、楽しいものです。気力・体力・感受性・道義性・教養力・生活力・社会力・コミュニケーション能力など、自分らしい多様な面がみえてくるようになるでしょう。たとえ、自分らしさはなかなか見えなくても、そのうちに、自ずと見えてくるものに接することにより、それを感じる自分がいることを自覚していくようになるでしょう。そして、おのずと、自分らしく日常生活とのかかわりを無理なく深めていくことになります。

創造的な自分らしさ

 自分らしく日常生活を送る中で、人は無意識に自己の創造的な力を感じることがあります。人がこのような力を意識したり自覚したりして行動を始める時は、明確な個性が表面化してきます。土の中でエネルギーを蓄えた個性の種が、自ら芽を出し、茎を造り、枝を備え、成長して明確な輪郭を持つようになります。そして、その輪郭を備えた樹木の根で栄養(知識と知恵)を吸収しながら、個性的な自分の存在を周りにも示していくことができます。

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