久留米大学特任教授 古賀幸久 の考える、これからの生き方論。
  1. ホーム
  2. >
  3. 古賀ブログ
  4. >
  5. ブログ#5

楽しい生き方とは

#5 2019年6月4日

大切なものの発見

 自己発見は易しいようで困難なものです。見つけようとしても見つけられない、発見しようとしてもなかなか発見できないものです。実は、自分をはっきりと見ようとすること自体に無理があります。すでに土中にある自分の種子から成長した木が、かつては根元にあった種子を見つけることができないのと同じです。しかし、成長した木が根元の種子ではなくて、自分である樹木全体を見ることはできます。自分がどのような特徴をもった樹木であるのかを知るには他の樹木を観たり触れたりすることで判断できます。それによって他と自分との温度差や形の違いを感じることができ、それが自己発見につながります。たくさん他者に触れ、感じることができれば、自己の姿と比較しながらすこしずつ自分のことが分かってきます。自分の大切なものが何なのかをはっきりとは分からなくても、すこしずつ、何となくぼんやりと感じることができるようになるでしょう。

ぼんやりした大切なもの

 「自己のぼんやりした大切なもの」を守るには自分だけはできません。他者からも大切にしてもらい、尊重してもらうことも必要です。そして、他者から尊重してもらうためには、自分の大切なものを他者に認識してもらうことが必要です。また、自分も他者が大事にしているものを知って、大切にしなければなりません。「大切なものを尊重する」ということは、「互いに尊重しあう」ということです。

幸せの実現

 人が喜びを感じるためには、お互いが相手の大事にしているものを知り、大切にすることが求められます。そのためには、相手が大事にするものを尊重する具体的な協力・支援を行うことが重要です。その実践のためにも交流とコミュニケーションが必要になります。
 幸せの源・自分の大切なものの源は「趣味・興味」が一般的です。できれば、それを「仕事」を通して実現できるのであれば最高でしょう。現実にはなかなかそうはいきませんが、いずれにしても、 楽しく「仕事」をして、そして、稼いだお金を「文化」的な趣味や興味に使えるのであればこの上なく喜ばしいことです。
 「物質的な消費」には限度があります。物は必要以上に持つと問題がおこります。食べすぎては不健康になり、浪費しすぎては不衛生になり、環境破壊も起こります。一定の必要量を超えて物を作り続ければ、人と社会を破壊する方向に向かいます。それを避けるには、人々は文化的に生活し、文化的な消費を高めることが必要になります。それは心から文化を楽しもうとする思いを持つことと、実際に楽しむことが重要です。そこから、新たな文化的な仕事が生まれ、文化的な生産とサービスが拡大し、生活が質的に充実していきます。豊かな文化社会はそこから築かれていくことになります。

▲ページ最上部に戻る