久留米大学特任教授 古賀幸久 の考える、これからの生き方論。
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失敗と成功

#2 2019年5月8日

姉の闘病

 私の姉は17歳と9か月で亡くなりました。心臓病を患い、長い闘病生活を送りながら、常に前向きに病魔と闘っていました。そして、ついには、極めて危険性の高い心臓弁膜症の移植手術を行いましたが、願いかなわず、帰らぬ人となりました。あとに残された闘病日記には、入院生活中の様々な嬉しい出来事や、辛く悲しい思い出が沢山書かれていました。
 その中で、私が強く印象をうけたことがありました。
「手術は一度だけしかゆるされない」という姉が背負った運命です。
 私はこれまでいろんなことに挑戦をし、また、多くの失敗をしてきました。そして、元気にこのようなブログを綴っています。失敗は何度でも許されてきたのです。それがどんなにすばらしいことであるかを実感できるようになったのは、過去、大きな失敗をしたときや、2回目の癌を患って強烈にへこんだ時です。姉のように一回きりの挑戦を運命づけられているのではなく、まだ何回もやり直して挑戦することが出来る、と考えられた時には、むしろ喜びが出てきたほどでした。そして、その失敗や逆境を生かしていけるとも思いました。
 人生は失敗の連続です。完璧に思い通りにいくことはほとんどありません。常に軌道修正し、不足を追加して、毎日、取り繕いながら歩み続けていけます。

失敗と修正と再挑戦

 人は自分の歩む道が最初から違っていることに気付かずに、迷子になってしまっていることもあります。迷子になっていることに気付いている人は、そこから抜け出そうとする努力をします。しかし、気づいていない人は迷子のまま暗い道を歩み続けることになります。そのような人は、いつかは耐えられなくなって迷いの暗い道からコースアウトすることを模索するでしょう。
 無事、コースアウトし、抜け出しえた人は、次にはその周辺の道を捜していくことになるでしょう。うまく次の道を見つけた人は、それが、思い通りの道ではなくても、何とか我慢してコースアウトをしないよう、そして、再度、迷いの道に入り込まないように、常に方向を軌道修正しながら、歩み続けていくことでしょう。進む道の多くは茨の道であるかもしれません。しかし、先には可能性があり、希望がある道です。何度でも失敗しても探り当てながら道を進むことが出来ます。健康な心と体がある限り、いつまでも挑戦と失敗ができます。楽しく生きるための軸は健康であること!!
 私もそうやって、劣等生から国際社会を相手にして仕事をする外交官にもなることができました。そして、現在、大学で教鞭をとっています。決して能力が高いからではなく、失敗の連続の中で、夢を諦める力と、そこから軌道を修正する力、そして、次に生まれた新しいことを継続してやることを楽しむことができたからです。継続は力なりといいます。失敗を宝として何回でも次のものに取り組むことが大切です。
 姉の闘病日記(「生と死をみつめて」石風社出版)の言葉が心を打つのは、命と健康がありさえすれば、何度でも挑戦し、失敗できることが約束されているということ、そして、人の無限の可能性を示唆しているからです。是非、皆様もご一読下さい。

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